(質問要旨)
4 再生可能エネルギーの導入促進について
先日、菅総理は所信表明演説において2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすると宣言したが、知事は昨年2月に政府より早く排出量実質ゼロを宣言しており高く評価する。一方で、削減目標達成のための再生可能エネルギー導入プランにおける2020年度の導入目標は12%だが、2019年度末の実績は9.4%であり目標の達成は厳しい状況と思われる中、再生可能エネルギーの導入促進に関し、次の諸点について、知事の所見を伺いたい。
(1)現在改定作業中の再生可能エネルギーの導入等促進プランでは、2030年度には総電力需要量に対する府内の再生可能エネルギーによる発電量を25%まで高める目標を設定しようとしているが、昨年度までの達成率を踏まえた現状分析と導入加速に向けた取組はどうか。
(2)府内の再生可能エネルギー導入計画は太陽光発電が中心だが、今冬には、関西電力管内の原子力発電所の停止中に、降雪や曇天によって太陽光による発電量が低下したため電力の逼迫が生じた。こうした事態を避けながら目標を達成するには、バイオマスや風力、水力等、太陽光以外の様々な供給源を活用しなければならず、京都府らしいエネルギーミックスの計画を立て、再生可能エネルギー導入の加速化を進めるべきと考えるがどうか。
(答弁)府民環境部
再生可能エネルギーの導入促進についてでございます。
現行の「再生可能エネルギーの導入等促進プラン」につきましては、基準年度の平成26年度から今年度末までに、府内の総電力需要量に対する再エネ導入量の割合を倍増させることを目指して策定したものでありますが、拡大を目指す再エネ導入量のうち、9割以上を太陽光発電で賄う計画としておりました。
このため京都府では、太陽光発電の導入拡大に向け、家庭や中小企業等への太陽光発電設備と蓄電池の同時設置に対する補助制度や、再エネ設備導入への低利融資制度などの対策を講じてきましたけれども、依然として初期投資への抵抗感が大きく、想定よりも導入が伸びておりません。
一方、大規模な太陽光発電においては、電力の固定買取価格を入札で決定する仕組みが導入され、事業採算性が低下したことや、景観・安全面への配慮などもあり、事業化が想定どおり進んでいないのが現状でございます。
この結果、太陽光発電の導入目標に対する進捗率は、昨年度末時点で半分以下にとどまっており、今年度末の目標である再エネ導入割合12%の達成は厳しい状況となっております。
なお、発電所立地補助制度の創設により舞鶴市内への木質バイオマス発電所の誘致が実現するなど、太陽光発電以外では目標を上回る成果も出始めております。
こういった現状を踏まえるとともに、脱炭素社会の実現に向けた今後の再生可能エネルギーの導入加速化を進めるため、令和元年10月から、有識者も交えた「再生可能エネルギーの導入等促進プラン委員会」において、来年度から始まる次期プランの目標や具体策に関する議論を重ねてきたところでございます。
次期プランにおきましては、2030年度の温室効果ガス排出量40%以上削減を目指し、その実現に向け、2030年度の再エネ導入割合を25%まで引き上げる目標を掲げることとしております。
この目標の達成に向けては、太陽光発電に加えまして、多様な再生可能エネルギーの導入を一層拡大する必要があることから、太陽光や風力、バイオマス、水力など電源種別毎に導入目標を定め、南北に長い京都府の特性等を活かして導入を促進したいと考えております。
太陽光発電については、近年、太陽光発電設備の低価格化や、軽量で柔軟性の高いパネルの技術開発などが進んでいることから、住宅や事業用の建築物における導入ポテンシャルは今後も十分見込めるものと考えております。
このため、去る11月議会で議決いただきました「京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例」の改正に基づき、工場などの事業用建築物における再エネ導入義務量の引き上げを行うとともに、居住者が初期投資なしで住宅に太陽光発電設備を設置できる屋根貸し方式への補助制度を創設し、建築物への太陽光発電の導入を着実に増やしてまいりたいと考えております。
風力発電につきましては、技術革新により府北中部での立地ポテンシャルが高まっていることから、次期プランでは太陽光に次ぐ位置づけとしております。
そのほか、バイオマス発電や小水力発電など、活用できるエネルギー資源すべてを利用するべく、今議会に予算案を提案しております「多様な再エネ導入促進総合補助金」により支援したいと考えております。
今後とも再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取組をより一層強化し、2030年度までに再エネ導入割合を25%に高める目標の達成を目指してまいりたいと考えております。